ほんとうのじぶんって
よく耳にすること。
「本当の自分で人と接しましょう」
どうなんでしょうね。
車輪の回転をよくするために自転車に油をさすように、人間もありのままじゃ生きられない。絶対に。
人間は社会的な生き物。
仲のいい人だけで生きられるならいいかもしれない。けど、社会という枠組みの中で生きる以上、絶対に本当の自分と社会を介する「なにか」が必要なんだよね。
そもそも、最初から仲のいい人なんてまずいないし、仲のいい人であっても初対面じゃ絶対素をさらせるはずがない。
そりゃあ、素をさらけ出せたら楽でしょ。何も気負わず、何も背負わず。
ベルトを無理にきつく縛って、スタイルがいい「ふり」をするよりも、ベルトさえない方がしっかり息ができる。
だけど、
それじゃ生きていけない。素をさらけ出したくても、そっちのほうが今は生きづらいってわかっているから、素なんてさらせない。
傷つきたくないから、はりぼてでもいいから「つながり」がほしいから。
だから今日も、素の自分を隠すんだよね、
自分も。